アメリカンハウスの原点~コロニアル建築~
「コロニアル建築」とは、 アメリカ合衆国が誕生する前、1600年代~アメリカ独立戦争までの植民地統治時代の住宅スタイルです。
ヨーロッパ各地からアメリカ大陸へ移住してきた入植者たちが、現地で手に入れられる材料を駆使して、故郷の建築様式を模した家を建てたのが始まりです。
17世紀にイギリス清教徒グループが「New England植民地」に入植し、New Englandの厳しい冬(約-29℃になることも)に備えて、巨大な中央煙突を備えた平屋建の丸太小屋を建てました。
床は土であることが多く、シラミやその他の害虫が這い、隙間風が入りやすい環境でした。
丸太小屋 1600年頃~
【特徴】
- 草藁屋根
- 平屋1室住居
- 土間床
- ティンバーフレーム
厳しすぎる環境に対応するために、装飾よりも機能性重視でさらに工夫を凝らしていきます。
松のこけら板を重ねたものに切り替え、屋根の傾斜を下げ、軒を狭くし、形状を正方形に近づけ、防水性のある外板を備えた家へと変わっていきます。
コロニアル建築の歴史は、まさに厳しい自然環境と入植者たちとの戦いの歴史と言えます。
さらに世代を経て、新たな入植者や、家族が増えるにつれて、入植者の中にはより大きな家を建てるようになります。
New England colonial 1600年代~1740年
エリア:マサチューセッツ、コネチカット、ニューハンプシャー、ロードアイランド
【特徴】
- シンプルで建設が簡単
- 低い天井と中央の煙突により、寒い冬でも部屋が快適に保たれる。
- 雪が積もりにくい急勾配の屋根。
- 正方形または長方形のデザインにより、成長する家族にとって増築や改修が簡単に行える。
【代表的な建築スタイル】
①Cape Godスタイル 1690年頃頃~
【特徴】
- 長方形の形状
- 側面切妻屋根、急勾配
- 平屋+半階建ての2階
- 巨大な中央煙突
②Solt Boxスタイル 1650年頃~ > ※植民地時代に塩を保管してい木箱に由来
【特徴】
- 側面切妻屋根
- 後下がりの長く傾斜した屋根
- 正面2階建て、背面1階建て
- 中央煙突の周りに木造骨組み
- Hall and Parlorスタイル
1階:ホール、客間、キッチン等
2階:寝室、ロフト
植民地時代のアメリカには、イギリスの他にドイツ、オランダ、フランス、スペイン、オランダからの入植者が住んでおり、
それぞれの故郷の建築技術をもとに、過酷な気候に耐えられるよう独自の建築スタイルを発展させていきました。
アメリカ独立戦争(1775~1783年)後、特にコロニアル建築のCape Godスタイルは「小さく、経済的で実用的な郊外の低価格住宅」として注目されました。
植民地時代の簡素で装飾の少ない建築デザインを踏襲しつつ、現代の生活に合わせてアレンジされて発展していきます。例えば
- 対称的な外観、切妻屋根、長方形の形状(オリジナルと同様)
- 2~3階建
- シンプルで古典的なレンガまたは木製で塗装されたサイディング
- 精巧な入り口、柱、屋根窓(ドーマー)、装飾シャッターの追加
- 1階にリビング、2階に寝室がある、中央に玄関ホールの間取
- バスルーム、キッチン、ガレージなどの現代的な設備の追加
長い歴史を持つコロニアル スタイルの家は、アメリカ全土で建てられるようになり、依然として人気のある建築様式であり続けています。