アメリカンハウスの歴史と特徴
アメリカンハウスの歴史
アメリカは移民の国です。植民地時代と言われる17~18世紀にイギリスをはじめフランス、スペイン、ドイツなどヨーロッパからたくさんの人がアメリカに移り住むようになりました。その移民たちが、故郷で住んでいた建物の様式や構造デザインを取り入れつつ、現地の地域環境や使い勝手を考慮しながら自分たちのライフスタイルに合った住む家を作るようになりました。それが後に、アメリカンハウス、または北米スタイルとして知られるようになりました。
このように、それぞれが自国の様式を取り入れながらもアメリカ大陸内の多様な地域に合わせてつくり上げた住宅をまとめてアメリカンハウスと呼ぶので、その外観デザイン、内装スタイルは多様です。建築素材については、故郷の建築物で使用されていたものと同じもが手に入るとは限らず、輸送することは手間や費用を考えると現実的ではないため、現地で入手可能な素材を使用して故郷のスタイルに近い住宅を建築するようになりました。例えば、石やレンガを積み重ねる工法で建てる英国式の住宅は、アメリカでは材料の調達が難しかったため、豊富な資材である木材を使って建てるようになりました。そして、この応用が機能性やデザインの自由度が高まる結果となり、アメリカンハウスの多様性へと進化していきました。横に細長い板状のサイディングを少しずつ重なるように合わせて使う「ラップサイディング」という現代の工法は、この特徴を真似たものです。
時代背景を反映したアメリカンハウス
住宅様式については、古き良き開拓時代の名残を取り入れた「アーリーアメリカンスタイル」と呼ばれるものや、太平洋に面する西海岸地域の「カリフォルニアスタイル」、左右対称デザインが特徴のイギリス様式の伝統を守りつつ北米の仕様を取り入れた「ジョージアンスタイル」、スペインの地中海に面するアンダルシア地方の特徴を取りいれた「スパニッシュ・コロニアルスタイル」、ドイツから持ち込まれたハーフティンバー工法で建てられた「チューダースタイル」、レトロな雰囲気を特徴にした「アメリカンヴィンテージスタイル」といったものまで多岐に及びます。
このように、アメリカンスタイルの住宅は時代の歴史や州の気候や地域性を反映した個性的な特徴をもつものが多くあります。日本でも、アメリカンハウスの設計、建築、販売やメンテナンスを手掛けるハウスメーカーや建築会社があり、取り扱っているスタイルや得意とする様式はそれぞれ違いがあります。